メュ!

メュ。

射精人(でんちゅ)

先日人生で初めて合コンなるものに参加する機会があり、早稲田慶應がよく言うところの「お持ち帰り」という都市伝説と思われた現象を日陰者である俺がまさかの多面張リーチまで持っていってしまった(結局お流れした)ことで、俺の金玉は不完全燃焼となり完全に燻っていた―――――

 

遂に股間の獣は理性のタガを抑え続けることに限界を迎え、仕事場から寮までの短い帰路で、俺は1年以上ぶりとなるソープランドでのセックスを心決めたのだった。

 

Gカップの細身の女を電話で指名予約する。

 

ソープランドまでの40分間の旅路はやけに長く感じた。陰茎が福島第一原発ばりの大爆発を起こしそうなのを必死に堪える時間は、苦痛そのものであった。

 

到着。

 

店に入り、つまらないテレビを見ながらコールを待つ……

 

 

「10番様、ご準備が整いました。行ってらっしゃいませ!」

 

 

俺の番号が呼ばれる。

俺以外の客は皆無であったので10番札である必要はないのでは?というどうでもいい疑問も浮かんだが、早々に頭から払い除け、眼前に控える野獣の如き交尾に意識を集中する。

 

「階段を昇ると右手に女の子がお待ちです」

 

 

さあ。

 

来いよ。

 

 

BEAST MODE―――――――――

 

 

 

 

三段腹のデブ。

クーパー靭帯が切れて垂れ下がったGカップ。

 

 

お、

 

 

おお

 

 

 

 

SPECIAL BEAST MODE――――――――――――――

 

 

 

予想を580度裏切る肉塊の降臨。

80kgは堅い。

 

通常の客なら即座にぶん殴るところだろうが、俺にとってはデブ風俗に行かねば会えぬと思っていた貴重なデブ。

 

ペニスは激烈に怒張していた。

 

「なんか緊張してるように見えるんだけど(笑)大丈夫?(笑)」

 

無理もない。

憧れたデブとの交尾が今まさに確定したばかりなのだから…

 

ちょっとした世間話のあと、ペニスを洗ってもらう。

金玉を少し擦られるだけで、腹筋が激しく痙攣運動を起こす。

 

「ちょっと!敏感すぎ(笑)」

 

はは…………、

 

 

 

マットかベッドかを訊かれるが迷わずベッドを選択。

 

80kg以上の肉塊の重圧を感じながら、股間部に舌を沿わされたとき、俺は快楽の絶頂にいた。メスの声が止まらなかった。

 

挿入。

 

腰を獣のように振る。

振り続ける。

死ぬまで腰を振り続ける――――――――

 

はずだった。

 

8回のピストン運動を終え、俺はドラムマニアでTEAR OFF YOUR CHAIN完走ばりの疲労を抱えていた。

 

腰が動かない。

 

疲れた、休みたい…

 

チンポが、しなる。

 

勃たなくなる。

 

目の前の肉塊に、一切の魅力を感じなくなる。

 

 

 

 

 

正常位、バック、騎乗位のいずれも射精に至らなかった俺は、最終的に寝そべったまま、要介護3の障害者が受ける性処理サービスの如き作業的な手コキで無理矢理射精させられ、虚無なる帰路に着いたのだった。

 

デブ、まあ良かった。

だが、風俗嬢との仕事感に満ち満ちた愛のないセックスに、真なる興奮を見出すことはできなかったのだ。

 

帰りの車の中で、きっと俺が退店したあと、あのデブシャクレアゴはすぐ力尽きて動けなくなった俺の悪口をものすごい言って仲間と笑ってるんだろうな……とか考えつつ、旅立った18000円に想いを馳せていた。

 

いつもより雨がちょっと冷たかった。