メュ!

メュ。

メュぼやき2

会社に入って3年目で、はじめての後輩がついた。

うちの職場は入社して5年目くらいまでの若手社員が約半数を占めており、会社全体で見れば平均年齢は高めな中で、ちょっと特殊な部署ともいえる。

 

(内情はどうであれ)技術職の集まりなので、基本は院卒が配属されてくる。そんな若手の中では初めての学部卒が今年の新卒に混じっており、彼がおれの後輩になった。

 

現状は世間一般で院卒に求められるような思考回路よりは、職場内での対人と折衝の力を強く求められる仕事がメインなので、学歴の差はほぼ影響しない。

ただ、仕事を覚えていってもらう過程でどうしても「それは違うだろ」とか、彼が現状持っているスキルの面で不安になる節が度々あるから、少しでも早く成長させてあげたい一心で指導は熱心にしているつもりだった。

それがどうも非常に良くないものだったと分からされたのは、ついさっきの話なのだ。

 

 

仕事を終え、先輩と3人で飯を食ってから車内でダベっていると、

 

「お前があいつに仕事教えてるときの明確に下に見てる感でみんなざわついてるというか若干引いてるよ。」

 

と、要約すればこんな話をされた。

 

おれは後輩に仕事を真面目に教えている自覚はあっても、見下してるとかナメてるとか、そういう負の感情を彼に対して抱いていたつもりはない。足りないところはあっても普段からかなり気配りしてるのがわかるし、そもそも1年目にしてはオーバータスクな仕事量を振られている(おれが1年目のときの3倍はいろんなことを経験させている)から、むしろ大目に見てやりたい気持ちを持っている。

 

しかし周りから見れば、おれは能力の足りない新入社員を小馬鹿にして越に浸っている糞上司そのものの行動を取っているようにしか見えないらしいのだ。立ち振る舞いや物言いがキツいことに、全く自覚がなかった。とてもショックだった。

 

話は変わるが、おれは高校時代に部活で部長役職を拝命し、初めてのリーダー経験で戸惑いながら、立ち振る舞い的な要素で失敗して人望を失った経験がある。俺の代だけ大会では結果も残せず、人を引っ張るなど二度とするまいと心に誓ったものだが…

不思議なもので大学の合唱サークルでは団内指揮者を務めることになった。高校時代の反省を踏まえつつ、みんなが楽しく活動ができるように考えて普段から練習を引っ張っていくようにしたら、最終的にはみんなからいい指導者だったと言われ、最後まで慕われたままサークルを卒業した。

 

大人になって、成長したんだなと思った。

 

それから、有機化学の研究室に配属され…そこのボスがとにかく相性悪くて最悪だった。

俺のやること為すこと全てに対して否定から入り、時には「センスないのに何で化学なんてやってるの?」といった人格否定を挟まれながら、3年間を耐え凌いだ。B4と修士の2年で覚えたことは論理的思考のプロセスではなく、無にした心で罵詈雑言を適当に受け流しつつただ日々が平穏に流れていくのを維持する技術とほし12をひたすら早押ししてゲージを減らさない技術だった。音ゲーマーの友達と理解のある研究室の先輩がいなければ、とっくに死んでいた環境だった。

 

就活を終え、会社に入ってやっと糞の支配から開放されたと思った矢先に俺の上司になった人間は過去を凌駕する糞だった。自分は何も行動で示さないくせに机上の空論ばかりを掲げ偉そうに講釈を垂れ、尊敬できる点など何一つない糞の下で糞を教わりながら心を無にして糞の仕事を続ける日々が流れた。

 

その上司は異動になり直接的な上下の関わりはなくなった。今は自由な発想のもと仕事をしていける風土に少しずつだが変わりつつある。

 

そんなタイミングで光明のように現れた純粋無垢な後輩に、俺の味わってきた糞を微塵も味わわせたくなかった。だからこそ熱心に指導にあたった。

 

が、数年間にわたって糞を浴びせられ続けたおれは、自覚のないうちに糞そのものに変貌を遂げていた。

 

おれの指導が「〇〇(糞上司の名前)さんみたいだ」と声が上がっていたと話を聞き、目の前が真っ暗になった。糞を浴びせまいと頑張ってきたおれの行動のすべてが、皮肉にも糞そのものであったという現実を突きつけられ、今とても悲しい気持ちでこの日記を書いている。

 

みんなから慕われる指導者だったおれは、とっくの昔に、死んでいた。

 

汚れてしまったんだ、おれは…